様々な商品が並ぶインターネットオークションサイト。
オークションサイトに自分の持ち物を出品されたことがある方も多いのではないでしょうか。
オークションサイトでよく見掛けるものといえば、出品されている商品の画像です。
自分が持っている絵を出品しようとする場合、その絵を撮影して、写真をオークションサイトにアップロードすることになるでしょう。画像がなければ、本当にその絵を持っているのかどうか、分からないからです。
ただ、出品のために、絵の画像をサイトに掲載することは、作者の著作権を侵害することにはならないのでしょうか?
結論からいいますと・・・
基本的には、画像を掲載することは著作権侵害とはなりません!
ただし、ある条件を守っていなければいけません!!
もし、その条件を守っていなければ、著作権侵害となってしまいます!
そこで今回は、オークションサイトに商品の画像を掲載するための条件について見ていきたいと思います。
美術の著作物等の譲渡等の申出に伴う複製等(著作権法47条の2)とは!?
先ほどと同様、自分が所有する絵の画像をサイトに掲載する場合を考えてみましょう。
絵の作者には、自分の作品をコピーしたり、インターネットを通じて配信したりする権利が認められています。
コピーする権利を「複製権」(21条)
インターネット配信する権利を「公衆送信権」(23条 )といいます。
絵を撮影して商品画像を作成することは「複製権」、その画像をサイトに掲載することは「公衆送信権」の対象となります。
そうすると、作者の許諾なく絵の画像をサイトに掲載することは著作権侵害になってしまうとも思えます。
しかし、著作権法は、
『美術の著作物等の譲渡等の申出に伴う複製等は著作権を侵害しない』
としています(47条の2)。
簡単にいいますと、
オークションサイトに絵を出品する場合には、著作権者の許諾なく、その商品画像を作成してサイトに掲載することができるということです。
商品画像の掲載がなければ、商品が存在しているのかどうかわからないからです。
守らなければいけない条件とは!?
ただし、どのような画像であっても、掲載できるということではありません!
画像を掲載するためには、守らなければいけない条件があります。
それは、
著作権者の利益を不当に害さないための措置を講じる!!
というものです。
その措置とは、具体的には、
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(1)3万2400画素以下
(コピー防止手段を取っている場合は9万画素以下)
または
(2)著作物の大きさや取引の態様からみて必要最小限度かつ公正な慣行に合致するもの
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との要件を満たしていなければいけないというものです(著作権法施行令7条の2第1項、著作権法施行規則4条の2)。
このいずれかの措置を講じていないと、著作権侵害となってしまいます。
もし、高解析度で画素数の大きい商品画像を掲載してしまうと、掲載された画像そのものが鑑賞の対象となってしまったり、その画像が広く流通してしまったりして、著作権者の利益を害してしまうからです。
もう一度条件を整理しますと・・・
画素数が上記(1)の条件を満たしている場合には、商品画像を掲載することができます。
また、(1)の条件を満たしていなくとも、取引の態様などから判断して、必要最小限度かつ公正な慣行に合致しているといえるのであれば、商品画像を掲載することが可能です。
いずれにせよ、どのような商品が販売されているのか購入者が分かればいいのですから、商品画像を掲載する場合には、必要以上に高解析度にしないようにしましょう!!
それと、もうひとつ!
オークションが終了した場合には、速やかにその商品画像を削除するようにしましょう!!
購入者が決定した後も掲載を続けてしまった場合には、商品を販売するという目的を超えて画像を利用しているものと判断されてしまい、著作権侵害となる可能性があるからです。
【執筆者】 弁護士 小鷹龍哉
※本記事はIT著作権.comからの転載記事です。