ベンチャーキャピタリストとは?

ベンチャーキャピタリストとは?

「ベンチャーキャピタリスト」と聞くとみなさんはどのようなイメージを思い浮かべるでしょうか?ここではベンチャーキャピタリストをご存知ではない方のために、ベンチャーキャピタリストについてわかり易く解説します。

ベンチャーキャピタリストとは?

ベンチャーキャピタリストベンチャーキャピタリストとは、優良企業・成長企業に投資(資金の提供)を行い、投資先企業の成長を実現することによってキャピタルゲインの獲得を目指す職業です。資金提供の形は出資(株式の取得)を主とし、投資後は株主として経営の支援やモニタリングに携わり、企業価値を高め、その企業や上場したり、買収される際に株式を高値で売却し、投資時との差額を収益(キャピタルゲイン)として得ることを目的とします。

ベンチャーキャピタリストの仕事内容

ベンチャーキャピタリストの仕事は下記のような流れで行われます。 

キャピタリストの仕事

【投資先企業へのアプローチ】

ベンチャーキャピタリストは、まずは投資先となる企業を探し、アプローチを行います。この投資先探しは、専門用語で『ファインディング』または『ソーシング』などと呼ばれます。よほどベテランで実績のあるベンチャーキャピタリストであれば優良企業から投資の相談が来ることもありますが、若手のベンチャーキャピタリストにとっては投資先候補を見つけるのは簡単ではなく、泥臭く何十社、何百社の経営者と面談を行ない、実際に投資するのは100社に1社程度と言われます。また、数多くの企業へのアプローチの末に投資したい優良企業を見つけても、他社のキャピタリストとの競争や企業側から断られることもあります。ベンチャーキャピタリストには、新聞やニュースからの情報収集だけではなく、多くの起業家や経営者などとリレーションを構築することによって優良企業を見つけ出す力と、粘り強く多数の企業にアプローチし続ける行動力が必要とされます。

【アプローチ企業への投資検討】

ベンチャーキャピタル投資対象となりそうな企業が見つかると投資の検討に入ります。投資対象企業のビジネスモデル、マーケット規模、成長性、財務状況、経営陣、競合企業、株価、株式マーケットの状況など複数の情報を分析し、投資を行うかどうか、また、投資を行うのであれば株価やシェア(持ち株比率)は適正であるかどうかを決定します。経験豊富なベンチャーキャピタリストによる独立系のベンチャーキャピタルであればキャピタリスト個人がこれらの判断を行うこともありますが、多くのベンチャーキャピタルでは、キャピタリスト個人の判断だけでなく、社内の投資会議や投資審査部門などによる審査も行われるのが一般的です。

【投資の実行】

投資が決定すると投資の実行を行います。投資先企業との契約に基づき資金を払い込み株式を取得します。

【投資後のフォロー】

投資後は、投資先企業が順調に成長を遂げるようサポートしていきます。投資額が大きかったり、投資先企業でのシェアが大きい場合は株主として積極的かつ深く経営に入り込み、投資額が少額の場合はモニタリングのみを行う場合もあります。いずれの場合も投資を行った後は、投資先の経営陣に対する経営アドバイス、取引先や提携先の紹介、状況によっては追加での資金提供も行うなど常に投資先のバリューアップを意識してサポートしていきます。ひとりのキャピタリストが担当する社数はベンチャーキャピタルによって異なりますが、複数社担当するのが一般的です。

【投資資金の回収】

投資後、一定期間が経過すると投資資金を回収します。この投資資金の回収は、専門用語で『Exit(イグジット)』と呼ばれ、投資先が株式公開を果たしたり、他企業に高値で売却されるなどした場合には数億円から数十億円、時には数百億円もの多額のキャピタルゲインを得ることが出来ます。一方で、うまく業績が伸びなかったり、投資先が倒産するなどしてキャピタルロスが発生することもあります。投資から回収までの期間は投資企業の状況にもよりますが、短くても2~3年、長ければ10年に及ぶこともあります。

ベンチャーキャピタリストのもうひとつの仕事 -ファンドレイズとファンドの管理-

ベンチャーキャピタルのファンド組成将来が有望なベンチャー企業への投資という華やかな側面が注目されるベンチャーキャピタリストですが、投資を行うためには投資資金が必要であり、その資金を集め管理するためにファンドレイズを行う(ファンドを組成する)必要があります。

ファンドレイズでは、ベンチャーキャピタリストがこれまでの実績などをもとに金融機関や事業会社などの機関投資家に依頼し、ファンドに資金を出資してもらうこととなります。そのため、ベンチャーキャピタリスト自身もこれまでの実績(トラックレコード)などを問われることとなり、これまでに実績がなかったり、ベンチャーキャピタリストとして一流と認められる実力がなければ投資資金を集めることはできません。 ファンドの資金集めもベンチャーキャピタリストにとっての重要な仕事のひとつなのです。

なお、ファンドレイズに関しては、大手のベンチャーキャピタルでは専門の部隊が、独立系ベンチャーキャピタルでもパートナー(役員)が行いますので、現場の若手キャピタリストが直接資金集めに従事する機会はほぼありません。また、ファンド組成後の管理については会計事務所などのアウトソーシングすることが多いため、こちらに関してもベンチャーキャピタリストが実務を行うことはあまりありません。

ベンチャーキャピタリストの年収

ベンチャーキャピタリストの年収はどれくらいなのでしょうか?

ベンチャーキャピタリストの年収なかなか情報のないベンチャーキャピタリストの年収ですが、大手ベンチャーキャピタルの新卒採用情報や有価証券報告書を参考にその年収をリサーチしてみたいと思います。

【月給】

代表的な大手ベンチャーキャピタルの新卒初任給は下記のようになっています。

株式会社ジャフコ(東証一部上場)
大学卒:月給205,000円  修士了:月給235,000円 (2014年新卒採用実績)
※上記の金額に各種手当てなどが上乗せされます。

【賞与・ボーナス】

キャピタリストの給料は賞与によって大きく差が付く場合があります。大手ベンチャーキャピタルでも、大型のイグジットなどによって数億~数十億のキャピタルゲインを得たキャピタリストには数百万円のボーナスが支給されることもあります。また、独立系のベンチャーキャピタルでは、イグジットの金額によってはボーナスが1,000万円に及ぶケースもあります。但し、大型のキャピタルゲインを得ることはそう頻繁ではないため、多くのベンチャーキャピタルの賞与は、一般の企業と同じく「会社業績に応じて数ヶ月分」もしくは賞与のない「年俸制」であることが一般的です。

【年収】

有価証券報告書によると大手ベンチャーキャピタルの平均年収は下記のようになっています。

株式会社ジャフコ:917万103円 (平均年齢:40歳4ヶ月)
※2013年3月期の有価証券報告書より抜粋。

日本アジア投資株式会社:700万7498円 (平均年齢:41歳8ヶ月)
※2013年3月期の有価証券報告書より抜粋。

上記の給与はキャピタリスト以外の事務職・一般職スタッフの給与も含んでいますので、キャピタリストのみの平均給与となるともう少し高くなります。また、両社の平均年齢なども考慮すると、大手ベンチャーキャピタルの場合の年収は40歳で700万円~1000万円程度と言えます。

この700万円~1,000万円という年収は外資系金融機関などと比較すると見劣りする内容ですが、日本の上場企業の平均年収(500~600万円程度)と比較すると決して低い金額ではないと言えます。また、独立系のベンチャーキャピタルなどではこれに限らずより高い年収を得ているケースもありますので、実力によって高い年収を目指せる仕事でもあります。

参考:大手ベンチャーキャピタルの役員報酬

参考までに有価証券報告書によると大手ベンチャーキャピタル2社の役員報酬は下記のようになっています。日本アジア投資は業績不振の影響から役員報酬も低めになっていますが、ジャフコの取締役はひとり当たり5,000万円超となっています。
※共に2013年3月期の有価証券報告書から抜粋

【株式会社ジャフコ】

役員区分

報酬等の総額

(百万円)

報酬等の種類別の総額(百万円)

対象となる

役員の員数

(人)

基本報酬

臨時報酬

役員持株会

加入促進加算金

取締役

(社外取締役を除く)

354

209

142

3

6

監査役

(社外監査役を除く)

18

13

4

0

1

社外役員

47

40

6

0

3

【日本アジア投資株式会社】

役員区分

報酬等の総額

(百万円)

報酬等の種類別の総額(百万円)

対象となる

役員の員数

(人)

基本報酬

ストック

オプション

取締役

48

73

△24

6

監査役

13

13

1

社外監査役

9

9

2

 

 

 

 

 

 

 

 

注)

  1. 取締役に支払った報酬には、使用人兼務取締役の使用人分給与(年額5百万円)は含まれておりません。
  2. 取締役の報酬等の額には、当事業年度中に退任した取締役1名の在任中の報酬の額が含まれております。なお、当事業年度末の取締役の員数は5名であります。
  3. 上記のうちストックオプション△24百万円は、過年度に付与した新株予約権が当事業年度において放棄の申し出により消滅したことに伴う、ストックオプションの戻入であります。
  4. 上記には、役員退職慰労引当金の要支給額の取崩による減少分△62百万円は含めておりません。
  5. 役員報酬の額は、職員の最高位者の賃金額を勘案し、かつ世間水準を考慮して、役位別にこれを決定するものとしております。
 

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