ベンチャーキャピタリストになるには?
ベンチャーキャピタリストになるにはどのようなキャリアを積めばよいのでしょうか?
ベンチャーキャピタリストには、新卒でベンチャーキャピタルに入社した人や事業会社やコンサルティングファームから転職してベンチャーキャピタリストになった人など様々な人がいます。ここではベンチャーキャピタリストになるための方法、必要なスキル、ベンチャーキャピタルの採用動向などについて解説します。
新卒でベンチャーキャピタリストを目指す。
新卒でベンチャーキャピタリストを目指すには、大手ベンチャーキャピタルの新卒採用へ応募して就職する方法があります。一般的には下記のような基準で募集されています。
【ベンチャーキャピタルの新卒採用動向】
新卒でベンチャーキャピタリストになる方法は限られており、選択肢としては下記のふたつです。
- 新卒採用を行なっているベンチャーキャピタル(主に大手)に応募する。
- ベンチャーキャピタルを子会社や関連会社に持っている企業に応募する。
1.新卒採用を行なっているベンチャーキャピタル(主に大手)に応募する。
かつては日本アジア投資やフューチャーベンチャーキャピタルなど、新卒採用を行なっているベンチャーキャピタルも比較的多く見られましたが、現在ではジャフコ、東京中小企業投資育成、大阪中小企業投資育成など数社に限られ(2014年募集実績)、非常に狭き門となっています。
2.ベンチャーキャピタルを子会社や関連会社に持っている企業に応募する。
ベンチャーキャピタル専業ではなく、金融機関やIT系企業など子会社や関連会社でベンチャーキャピタル事業を行なっている企業に応募するという方法もあります。ただし、ベンチャーキャピタル事業を行なっていても新卒を配属していないこともあるなど、ベンチャーキャピタル事業への配属が保障されるものではありません。
このように新卒でベンチャーキャピタリストとなる選択肢はいずれも狭き門ですので、内定を獲得するためには厳しい競争を勝ち抜く必要があります。
【ベンチャーキャピタルで必要とされるスペック】
では、ベンチャーキャピタルの新卒採用ではどのようなスペックが求められ、どのような人材が評価されるのでしょうか?最終的には企業によってケースバイケースなのですが、全体としては下記のような傾向が見られます。
●学歴
大学、または、大学院卒(ベンチャーキャピタリストは経営者とコミュニケーションをとる職業であるため、頭の良さや基礎学力、学歴の高さも求められます。)
●学部
不問(但し、経済学部、経営学部、商学部などビジネスに関連の深い専攻は好まれやすい傾向にあります。また、最近ではIT、ナノテクやバイオなどの分野への投資も多いため、理系大学院卒も評価される傾向にあります。)
●語学力
TOEICを取得していたり、語学力があれば尚可です。国内投資の場合では語学力はあまり必要とされませんが、近年では海外マーケットを狙っている企業への投資や海外での投資にも積極的なベンチャーキャピタルも増えてきているため、語学力が高い人材も評価もされやすくなってきています。
●パーソナリティー
ベンチャーキャピタリストの採用に当たってはこのパーソナリティーが最も大きな要素を占めるといっても過言ではありません。ベンチャーキャピタリストの仕事は、経営者や起業家を相手に事業の将来性を見極め、また、事業を大きく成長させることがミッションとなりますので、入社数年以内に経営者と対等にビジネスの話ができるようになれるポテンシャルを有しているかどうかが判断基準とされます。
具体的には、ビジネスの現場に積極的に飛び込んでいける行動力、厳しい交渉やビジネスの修羅場においても高いパフォーマンスを継続的に発揮できるバイタリティ、冷静・論理的でありつつも時に斬新・クリエイティブに事業を考えていける頭の良さ、論理的思考能力・創造性、経営者ややり手のビジネスパーソンをビジネスパートナーとしてスムーズに仕事をこなせるコミュニケーション能力などが必要とされます。
中途・転職でベンチャーキャピタリストを目指す。
ベンチャーキャピタリストを目指す場合、ベンチャーキャピタルの中途採用に応募するという方法があります。中途の場合は、新卒と異なり中小・独立系のベンチャーキャピタルでも募集がありますが、即戦力、もしくは、それに近い高いポテンシャルが求められる傾向が強いため、中途採用においてもベンチャーキャピタルに転職するハードルは高くなっています。
【ベンチャーキャピタルから評価されやすい職種や業界】
ベンチャーキャピタルに転職する場合、下記のような職種や業界の出身者は評価されやすい傾向があります。
●職種
ベンチャーキャピタリストの中途採用において求められる経験・スキルは『事業・ビジネス関連』『ファイナンス関連』のふたつに大別されます。前者に関しては、ベンチャーキャピタリストは投資先の経営支援を行うことから、事業を成長へ導いた経験や事業の起ち上げや運営に携わった経験が求められます。また、後者に関しては、ベンチャーキャピタルは未上場株式への投資や資本政策に関わる仕事でもありますので、ファイナンススキームや会社法への見識があることが望ましいとされます。
『事業・ビジネス関連』の職種に関しては、具体的には、「経営企画」「事業企画」「事業推進」などの経験が評価され、近年ではIT分野への投資が活発であるため、新興系のITベンチャーなどで新規事業や子会社起ち上げに従事したり、急成長した事業の企画や運営に携わっている人材が評価される傾向があります。また、戦略系コンサルタントや経営コンサルタントなども採用対象となります。
また、『ファイナンス関連』の経験者に関しては、証券会社や銀行などの金融機関での法人営業やコーポレートファイナンス経験者が評価されます。ただし、ベンチャーキャピタルの場合は、ファイナンススキルが最優先で重視されるわけではないので、金融機関出身者が評価されるケースは金融機関系ベンチャーキャピタルか、もしくは、20代で年齢が若く事業・ビジネス面でのスキルに伸びしろが感じられるケースなどに限られる傾向はあります。
●年齢
ベンチャーキャピタルは、一部の大手ベンチャーキャピタルを除けば、基本的に少数精鋭の即戦力層で構成されています。そのため、中途採用においてもベンチャーキャピタル業界未経験者の採用は若手に限定される傾向があります。イメージとしては、知識面でも経験面でも即戦力であり、かつ、比較的短期間でベンチャーキャピタリストとして成長が見込めるポテンシャルの高い人材が好まれることから、20代後半~30代半ばの人材が採用対象になりやすい傾向があります。
【ベンチャーキャピタルへの応募方法】
中途採用に応募する際には、転職エージェント(人材紹介会社)を経由して応募する方法や、求人サイトや志望企業のホームページから直接応募する方法などありますが、ベンチャーキャピタルへ転職では、人脈や人づてて転職が実現するケースもあります。特に独立系の小規模ベンチャーキャピタルなどでは、採用活動を行うこともあまり多くなく、かつ、採用人数も少ないため、パートナー(役員)のつてなどで身近で優秀な人材を直接スカウトするケースもあります。そのため、スタートアップやベンチャー関連のコミュニティでベンチャーキャピタリストとの人脈を形成しておいたり、もしくは、ビジネス上で関わりを持っておくことによってベンチャーキャピタルへの転職可能性が高まることもあります。