乱立状態のコンテンツサイト
インターネットの普及につれて、コンテンツサイトも数多く出現しました。レシピの検索ひとつをとってみても、クックパッドや楽天レシピ、Yahoo!レシピがヒットします。まさに乱立状態です。
同じ料理の作り方を調べるとき、それぞれのサイトに行くことは面倒です。むしろ、“オムライス”などとキーワードを入れれば、各サイトのオムライスの作り方がいっぺんに出てくるサイトがあれば便利です。実際、レシピに限らず、このような「まとめ・比較系サイト」は数多く存在します。
しかし、他サイトのコンテンツを利用することに、著作権上の問題はないのでしょうか。
(※なお、今回の記事は2ちゃんねるのまとめサイトは想定しておりません。2ちゃんねるのまとめサイトにはまた別に特有の問題がありますが、今回の記事はその点に踏み込むものではありません。)
無許諾は原則違法
画像や文章など他人のコンテンツについては、原則としてそれを作成した者に著作権があります。ウェブサービスでいえば、サイトの運営者にコンテンツの著作権があることが多いと思われます。他人のコンテンツを複製することは、複製権(著作権法21条)の侵害となります。少し加工したとしても、それは翻案権(同27条)侵害となり、やはり著作権侵害であることに変わりはありません。
したがって、他人のコンテンツを自社のウェブサービスに利用することは、著作権者の承諾を得ない限り、原則として著作権侵害になってしまいます。
リンクを貼るだけでも著作権侵害か?
では、勝手にリンクを貼ることまで、著作権侵害と判断されてしまうのでしょうか。
この点については、明確な法律や裁判例がありません。
ただ、現在の著作権法から考えると、単純にURLを表示したり、リンク先のホームページに移動するリンク領域を作成したりすること自体では、著作権侵害とは認められないと思われます。しかし、このような情報だけで、サイトを魅力的なものにすることは難しいでしょう。
著作権の制限規定は使えないか?
著作権法は、30条以下で、著作権が制限される場合を定めています。著作権が制限されるということは、他人が著作権者の承諾なく利用して良い場合ということです。そこで、著作権法上規定されている著作権の制限規定を使うことはできないでしょうか。
「まとめ・比較系サイト」に利用できそうな著作権の制限の規定としては、以下の2つが考えられます。
- 引用(32条1項)
- 送信可能化された情報の送信元識別符号の検索等のための複製等(46条の6)
Part2以降は、上記1、2のそれぞれについて、検討をしていきたいと思います。
【執筆者】 弁護士 渡辺泰央
※本記事はIT著作権.comからの転載記事です。