スタートアップを支えるサポートの需要が高まっています。そこに着目しWEBサービスを開発したスタートアップ専門の会計事務所・Kepple(以下、ケップル)が本日、エンジェル投資家からの資金調達のニュースをリリースされています。
ケップルの代表を務めるのは、公認会計士ナビの記事やイベントにも登場頂いたことのある公認会計士の神先孝裕(かんざき たかひろ)さん。
スタートアップを専門に支援している数少ない会計士として、会計、税務業務、事業計画の作成サポートから資本政策まで、スタートアップの成長に必要なサービスをトータルサポートしています。
そのケップルがこれまでβ版として提供していた「FUND BOARD」(ファンドボード)というサービスの拡大のため、4月25日(水)9時に資金調達を実施したとリリースが出されました。
今回は、「FUND BOARD」の資金調達の概要、今後の展開も含めてご紹介します。
【本記事の目次】
1.資金調達の内容は?
「FUND BOARD」を運営するケップルは、西木 隆氏、末包 昌司氏、提橋 由幾氏を含む計4名の個人投資家を引受先とした、第三者割当増資を実施。3,000万円の資金調達を行いました。
β版リリース以降、機能・デザインともに大幅にアップデートを行ってきましたが、今回の資金調達を受けて正式リリースに向けて開発を加速することになっています。
また、2018年6月からの投資家ユーザー向けのサービス提供開始に向けて、事前登録を開始されます。
→事前登録は、FUND BOARDのWEBサイトから行うことができます。
その後、2018年夏頃からスタートアップユーザー向けのサービス提供を行うことも合わせて発表されました。
会計事務所を経営する公認会計士がWEBサービスを起ち上げ、また、資金調達を行うケースは非常に珍しいと思いますが、資金調達を行ったのはなぜでしょうか?また、資金使途はどのように考えているのでしょうか?
神先さんに伺いました。
今回の資金調達は、更にサービスの開発を加速させるためです。
ベータ版公開後、想定以上に反響頂けたので、その後開発体制を強化し、今は社内メンバー4名・業務委託6名ほどのチームに拡大しています。
この資金調達を経て、さらにスピードをあげて、開発を進めていきます。
2.FUND BOARDとは?
「FUND BOARD」については公認会計士ナビでも過去に特集をしていますが、システムのサービス内容を一言でいうと“スタートアップと投資家のファイナンスの実務をサポートし、スタートアップと投資家のコミュニケーションを効率化するサービス”です。
・会計士が開発!スタートアップの資本政策や株主管理を助けるツールFUND BOARD(ファンドボード)がβ版リリース(公認会計士ナビ)
人的リソースが不足しがちなスタートアップにとって、手間がかかる株主管理が簡単にでき、投資家との事務的なやりとりの工数を削減できるFUND BOARDのメリットははかりしれません。
FUND BOARDを利用すると、事務作業が短縮されるほか、投資家と瞬時にデータを共有できたり、スタートアップに欠かせない資本政策が簡単に作成できたりと、スタートアップ業界に必須のプラットフォームです。
〈スタートアップにとっての主なメリット〉
- 株主に提出が必要な資料をオンラインで提供できるので、郵送やメールの手間が省ける
- 資金調達に必要な資本政策をオンライで作成可能で、全株主と共有が可能
- 最新の株主名簿をいつでも閲覧可能
一方のベンチャーキャピタル(以下、VC)やエンジェル投資家、上場会社は、現状は投資先をExcelなどで管理しているところが多いそうですが、FUND BOARDを使えばポートフォリオを簡単に管理することができます。
また、自らがやり取りしなくてもFUND BOARDにアクセスすれば、スタートアップの現状を把握することができるため、効率化につながります。
〈投資家にとっての主なメリット〉
- 投資先情報の一覧管理ができ、過去情報も閲覧可能
- 投資先とのミーティングメモ機能があり、出先からでもオンラインで利用できる
3.開発した公認会計士はどんな人?
ベンチャーファイナンスが大型化し、ノウハウも複雑化するスタートアップ業界で、ケップルの神先さんは数少ない頼れる専門家のひとりです。
神先 孝裕(かんざき たかひろ)
Kepple会計事務所 代表
公認会計士・税理士・行政書士
2009年、公認会計士試験合格後、あずさ監査法人に入所。国際事業部にて主に監査、IFRS導入支援に従事。 修了考査合格後、監査法人を退職し、2013年に26歳で神先公認会計士事務所(現Kepple会計事務所)を設立し独立開業。日本を代表する若手ベンチャーキャピタリストであるSkyland Venturesの木下氏との出会いなどをきっかけに、スタートアップ企業を中心としたバックオフィスや資金調達支援にて事務所を拡大させ、複数のスタートアップの社外取締役も務めるなどスタートアップ業界を中心に活躍中。
Kepple会計事務所:http://kepple.jp/
今でこそスタートアップ専門の会計士として高い評価を得ている神先さんですが、独立当初からスタートアップに詳しかったわけではなく、Skyland Venturesの木下さんとの出会いをがきっかけにスタートアップ業界を専門とした公認会計士として活動を始めます。
【参考記事】
- スタートアップ支援に強い会計士として独立!そのキャリアにはどう辿り着いたのか?:会計士・渡邉孝江が聞いてきた!Vol.1(公認会計士ナビ)
- シードのスタートアップに特化した会計事務所Kepple。社外役員も務める理由とは(会計事務所求人名鑑)
その後、ケップルさんは大きく成長され、現在、創業4年とまだ新しい会計事務所ですが、クライアント数は既に180社を超えており、その中でもスタートアップ企業が大半を占めているそうです。
「FUND BOARD」はスタートアップ業界に精通した神先さんが、業界の課題を感じて開発されたとのこと。
スタートアップのクライアントが多く、バックオフィス業務の支援を手掛けてきたケップルだからこそ、業界の共通課題を認識することができ、その解消のためのサービスの必要性に気付けたのかもしれません。
最後に神先さんから今後についてのコメントを頂きました。
ここ数年、日本のスタートアップ業界はかなりの盛り上がりを見せており、投資家層も年々非常に厚くなってきています。
ただ現場では、株主が増え、投資先が増え、書類のやり取りや無駄なコミュニケーションが増え、多くのスタートアップや投資家が、日々の煩雑な業務に忙殺されています。
もっとスタートアップと投資家が、事業に集中できる環境、投資に集中できる環境を創り、スタートアップにさらに多くの支援が集まるように、ケップルはスタートアップのために邁進していきます。
スタートアップの成長に欠かすことのできないパートナー、ケップルの今後の成長から目が離せません!