2021年IPOランキング!【上場市場・主幹事証券・監査法人・証券代行別 IPO件数】

2021年IPOランキングサムネイル

2021年の上半期は、コロナショックの影響でIPOを延期や中止する企業が続出する一方で、年末にかけてIPO件数が一気に増加するなど、波乱含みのIPO市場でした。2021年は東証再編を目前にして、プレーヤー実績はどのようになったのでしょうか?

2021年のIPO市場を、

  • 上場市場
  • 主幹事証券
  • 監査法人
  • 証券代行

ごとのIPO件数でまとめてみました。

本記事の目次

市場別IPO数ランキング

東証マザーズが9年連続トップ独走

まずは市場別IPO数のランキングです。今年は東証再編を目前に控えて、IPO総数は125件と急増し、2008年以降で最高となるなど活況な1年となりました。

このような中、市場別IPO数ランキングにも変化が見られるのでしょうか。

過去9年間の市場別IPO数ランキング推移表にご注目ください。

市場別IPO数ランキング

ipoランキング_2021年_上場市場別_件数比較表※クリックすると拡大します。

市場別IPO数ランキングでは、1位は9年連続で東証マザーズです。また2年連続でジャスダックが2位になりました。2021年のIPO総数に占めるマザーズのシェアは74.4%と、2019年度と並んで、9年間で最も高いシェアを占めています。

2020年から2021年にかけて、IPOの総数は32件増加しています。市場別で比較してみると以下のようになっています。

  • 東証マザーズ:+30件
  • ジャスダック:+2件
  • 東証2部:-1件
  • 東証1部:±0件
  • 福証Q-Board:+2件
  • 札証アンビシャス:±0件
  • 名証セントレックス:-1件
  • 名証2部:±0件
  • 福証:±0件

前年はマザーズが63件、それ以外の市場が30件だったのに対して、今年はマザーズが93件、それ以外の市場が32件となりました。この数字を見ると、当期のIPO件数の爆発的な増加は、ほぼマザーズへの上場であったことが分かります。

マザーズは上場時の利益基準が無く上場しやすいため、2022年4月の東京証券取引所再編を目前に駆け込みで上場を目指した企業が、上場しやすいマザーズを選んだというのもあるかもしれません。

主幹事証券別IPO数ランキング

みずほ証券が首位返り咲き

次に主幹事証券別のIPOランキングを見てみましょう。

主幹事証券別IPO数ランキング

ipoランキング_2021年_主幹事証券別_件数比較表
※クリックすると拡大します。

※主幹事証券が複数ある場合は、各証券会社に1件ずつ集計しています。

主幹事証券別IPO数ランキングは、みずほ証券が2016年以来5年ぶりの首位に返り咲きました。2位野村證券、3位SMBC日興証券は、1位のみずほ証券と僅差になっています。

【主幹事証券上位5社のIPO件数の推移】

ipoランキング_2021年_主幹事証券別_推移グラフ
※クリックすると拡大します。

2013年と2021年を比較すると、IPO総数は54件から125件へ2.3倍強に増加しています。
他方9年間の推移を見ると、野村證券は件数がやや抑えられつつある一方で、大和証券は緩やかな増加、みずほ証券、SMBC日興証券、SBI証券の3社は右肩上がりで増加しており、上位5社の混戦状態になっています。

監査法人別IPO数ランキング

トーマツがあずさと同着で2位へ再浮上、太陽がトーマツ、あずさに迫る勢い

次に監査法人別にIPO件数を比較してみます。

監査法人別IPO数ランキング


※クリックすると拡大します。

※2018年7月2日に太陽監査法人と優成監査法人が合併しています。2018年のIPOに関して、優成監査法人のIPO1件は2018年末時点の存続法人である太陽監査法人に含めて集計しています。
※個々の監査法人の実績に関しては、外国監査法人は個別の法人として取り扱い、提携監査法人の実績には含めずに集計しています。

IPO件数では、EY新日本監査法人が4年連続で首位をキープしています。
続くあずさ監査法人も前年と比べてわずかに減少しています。一方、あずさ監査法人と同着で2位となったトーマツは、一昨年の水準に戻し2位に返り咲きました。

また、太陽監査法人が4位となり、IPO監査において、安定的に上位3~4位の位置に着けています。

監査法人の規模別で件数はどう変動したのか

2020年から2021年にかけて、四大監査法人の実績に関しては、

  • EY新日本監査法人:33件(対前年̟+6件)
  • 監査法人トーマツ:19件(対前年+9件)
  • あずさ監査法人:19件(対前年-3件)
  • PwCあらた監査法人:4件(対前年+1件)

と合計で13件のプラスとなっています。

また、外国監査法人はKPMG LLPとEY LLPの2件の実績があります。

  • KPMG LLP:1件(対前年+1件)
  • EY LLP:1件(対前年+1件)

上記2法人はBIG4のメンバーファームですので、これらを大手に含めると15件のプラスとなります。

また、準大手監査法人の実績を前年と比べてみると、

  • 太陽監査法人:17件(対前年+6件)
  • 仰星監査法人:7件(対前年+2件)
  • PwC京都監査法人:8件(対前年+7件)
  • 東陽監査法人:6件(対前年+5件)
  • BDO三優監査法人:2件(対前年-2件)

と18件のプラスとなっております。

中小監査法人に関しては、前年と比べて1件のマイナスになっています。

  • 監査法人A&Aパートナーズ:2件(対前年+1件)
  • ひびき監査法人:1件(対前年-1件)
  • 監査法人 東海会計社:1件(対前年±0件)
  • 如水監査法人:1件(対前年+1件)
  • 千葉第一監査法人:1件(対前年+1件)
  • 監査法人アヴァンティア::1件(対前年+1件)
  • 東邦監査法人:1件(対前年+1件)
  • 海南監査法人:0件(対前年-1件)
  • 永和監査法人:0件(対前年-1件)
  • 應和監査法人:0件(対前年-1件)
  • 興亜監査法人:0件(対前年-1件)
  • 双葉監査法人:0件(対前年-1件)

    今年は、四大監査法人と準大手監査法人がIPO件数を増やしていますが、特にここ数年、準大手監査法人の実績が急増しています。

    今年は、前年コロナ禍でIPOを見送った企業や、2022年4月の東証再編の駆け込み需要などで2008年以来14年ぶりの100件超え、また、2007年以降で最高のIPO件数となりました。

    ここ数年のIPO市場は、IPO準備企業の増加で大手監査法人が受嘱しきれず、準大手監査法人や中小監査法人が引き受けるという構図が続いてきているため、おそらく2022年も準大手や中小のシェアが高い状況が続くと思われます。

    証券代行別IPO数ランキング

    三井住友信託2年ぶりのトップ

    次に、証券代行別IPO数ランキングをご紹介します。

    証券代行別IPO数ランキング

    ipoランキング_2021年_証券代行別_件数比較表
    ※クリックすると拡大します。

    証券代行は、2年ぶりに三井住友信託銀行が1位となりました。

    証券代行に関しては、三井住友信託銀行、三菱UFJ信託銀行の2強をみずほ信託銀行が追う形が続いています。9年間の累計代行率を見ると、1位が三菱UFJ信託銀行42.9%、2位が三井住友信託銀行33.7%の順となっています。

    2022年はどうなる!?

    2021年は東証再編を目前に控えた駆け込み需要で、2008年以降で最高のIPO数を達成しました。

    2022年は、4月4日付で東京証券取引所が、5市場から3市場(プライム市場、スタンダード市場、グロース市場)へと再編され、IPO企業が上場を目指すであろうグロース市場の上場基準は、時価総額基準が撤廃となり(マザーズでは時価総額10億円以上)、流通株式数が1,000以上となるなど(マザーズでは2,000以上)、上場基準が緩やかになりました。

    一方で、株式市場自体も年初からの株安に加えて、ロシアのウクライナ侵攻に伴うさらなる株安、また、海外の資金調達市場の変化が、国内スタートアップの資金調達にも影響を見せるなど、これらが今後のIPOマーケットにどう反映されていくのかにも注目が集まります。

    2022年のIPOマーケットやランキングはどのような結果になるでしょうか?継続してウォッチしていきますので、ご期待ください。

    (著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧

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    <本記事の補足>
    複数の証券取引所に同時上場の場合には、市場規模が大きいもののみカウント。東京証券取引所>名古屋証券取引所>札幌証券取引所>福岡証券取引所の順で優先しております。具体的には以下の銘柄です。
    【上場日、社名、集計した市場(集計対象外とした市場)】2013/3/27、タマホーム、東証1部(福証)/2014/12/24、ヨシックス、ジャスダック(名証2部)/2014/5/22、東武住販、ジャスダック(福証Q-board)/2015/3/26、プラッツ、東証マザーズ(福証Q-board)/2015/6/25、メニコン、東証1部(名証1部)/2016/3/9、プラス、東証マザーズ(名証セントレックス)/2016/6/15、ホープ、東証マザーズ(福証Q-board)/2016/6/29、コメダホールディングス、東証1部(名証1部)/2016/10/25、九州旅客鉄道、東証1部(福証)/2016/11/22、WASHハウス、東証マザーズ(福証Q-board)/2017/2/10、安江工務店、ジャスダック(名証2部)/2017/3/23、グリーンズ、東証2部(名証2部)/2017/8/3、シェアリングテクノロジー、東証マザーズ(名証セントレックス)/2017/12/25、ABホテル、ジャスダック(名証2部)/2018/12/21、ポート、東証マザーズ(福証Q-board)/2018/12/21、テノ.ホールディングス、東証マザーズ(福証Q-board)/2019/2/27、東海ソフト、東証2部(名証2部)/2019/4/3、東名、東証マザーズ(名証セントレックス)/2019/10/18、浜木綿、ジャスダック(名証2部)/2019/10/18、ワシントンホテル、東証2部(名証2部)/2021/4/7、(株)ファブリカコミュニケーションズ、ジャスダック(名証2部)/2021/6/2、(株)メイホーホールディングス、東証マザーズ(名証セントレックス)/2021/9/2、メディア総研(株)、東証マザーズ(福証Q-board)/2021/10/8、日本エコシステム(株)、東証2部(名証2部)/2021/12/23、三和油化工業(株)、ジャスダック(名証2部)

    <免責事項>
    本記事で使用されているデータはキャピタリストナビを運営する株式会社ワイズアライアンスが集計したデータになります。データの集計には細心の注意を払っておりますが、その正確性を100%保証するものではございませんので、御理解の上お読みください。また、本記事の内容・データ使用によって損害を被った場合、一切の責任を負いかねますのでご了承ください。なお、万が一、ミス・修正点等に気づかれました際にはお問合せよりご一報頂けますと幸いです。

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