先日(平成24年12月3日)開催したセミナー
「改正著作権法によって影響を受けるITビジネス」
に多数の方のご参加をいただき、まことにありがとうございました。
少し遅くなりましたが、今回はそのセミナー参加者の方が疑問に思われていた著作権の問題についてその数点をピックアップしてご回答したいと思います。
Q1:著作権法のポイントはなんですか?
A:
様々ありますが、問題となっているものに「著作物性が認められるか」が一つの大きなポイントです。
著作物とは、
「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう」
とされていますから(著作権法2条1項1号)、事実やアイデアそのもの、ありふれた表現等には著作物性は認められません。しかし、どこまでが事実やアイデアなのか、どのような表現がありふれたものといえるのかは境界が難しく、裁判でもしばしば激しく争われるところです。
Q2:TVで流れた映像をネット上にアップするのは適法ですか?
A:
原則として違法です。
そのTVの映像に著作物性が認められれば(アニメが典型です。)、その映像を制作した人の著作権を侵害します。仮に著作物性が認められないとしても、放送事業者の著作隣接権を侵害してしまいます(著作権法98条)。
Q3:スポーツ中継をそのまま流すのは適法ですか?
A:
スポーツの生放送は、原則として著作物性が認められません。しかし、スポーツ中継も一度放送されてしまうと、その映像について放送事業者に著作隣接権が発生します。そうすると、スポーツ中継であっても、それを録画したものをネット上にアップするような行為は放送事業者の著作隣接権を侵害するので違法になってしまいます。
Q4:違法ダウンロード刑事罰化における「有償著作物等」はどこからですか?「ファンクラブ会員に無料プレゼント」とかでも含まれますか?
A:
ファンクラブ会員が有料である場合、その会員費用を支払わないとプレゼントをもらえない訳ですから、その場合は「有償」に含まれると考えられます。
Q5:有料でダウンロードした音楽を、イベント等に使用するため、オンラインストレージを使ってイベント主催者に渡す行為は違法ですか?
A:
音楽をオンラインストレージにアップする行為は公衆送信権・送信可能化権等の著作権を侵害するため違法になってしまいます。また、これを知りながら主催者がダウンロードする行為は刑事罰の対象となる違法ダウンロードに該当します。
ご質問して頂いた方、ありがとうございました。また、質問を取り上げることができなかった方は申し訳ありません。
今後ともセミナー等の都度、ご質問を受け付けたいと考えています。
※本記事はIT著作権.comからの転載記事です。