スタートアップや起業家が事業を立ち上げる際、納税や会計といった作業が発生します。
その際、顧問税理士を探す必要がありますが、それまで税務や会計に携わったことのない起業家にとっては税理士と公認会計士の違いを理解するのでもひと苦労です。
今回、そんな起業家のみなさんのために税理士や公認会計士を選ぶ際に知っておくべきことを下記の5つのポイントにまとめてみました。
- 税理士は税務、公認会計士は会計が得意。だが、最終的には経験とセンスによる。
- ベンチャーキャピタルからの資金調達に詳しい税理士や公認会計士は意外と少ない。
- 売上アップのアドバイスを税理士や公認会計士に期待するのは間違い。
- スタッフとの相性やマネジメントも意識する。
- 料金は値切りすぎない。価格の根拠を聞き、適正価格を意識する。
1:税理士は税務、公認会計士は会計が得意。だが、最終的には経験とセンスによる。
一般的に、税理士は税務が得意で、公認会計士は会計が得意です。
もう少しわかりやすく言うと、中小企業と上場を目指す企業や大企業では必要とされる会計の知識が異なり、一般的には、税理士は中小企業の会計や税務が得意、公認会計士は上場企業のような中規模から大規模の企業の会計が得意です。 ただし、税理士や公認会計士のスキルもプログラマーやエンジニアなどと同じで、最終的には経験とセンスによります。 そのため、税理士と公認会計士のどちらの資格を持っているかだけではなく、その税理士や公認会計士がこれまでどんな経験を積んできているかを合わせて確認するのがよいでしょう。 特に、IPO(株式公開)や事業の拡大を目標とするスタートアップの場合は、中小企業向け税務の経験もある公認会計士※、もしくは、中規模以上の企業の会計の経験もある税理士を目安に選ぶのが良いでしょう。 ※公認会計士は所定の手続きを経るとと税理士の資格も得ることができ、税務業務を行うことができます。
2:ベンチャーキャピタルからの資金調達に詳しい税理士や公認会計士は意外と少ない。
近年では、ベンチャーキャピタルからの資金調達を目指すスタートアップも増えてきました。しかし、税理士や公認会計士にとっても、ベンチャーキャピタルからの資金調達は実は身近なものではありません。スタートアップの資金調達支援を豊富に経験している税理士や公認会計士は意外と多くないのです。(特に東京以外の地域ではほとんどいないと言っても過言ではありません。) 資金調達やベンチャーキャピタル対応のサポートをお願いしたい場合は、資金調達を経験した起業家に相談するなどしてみましょう。
3:売上アップのアドバイスを税理士や公認会計士に期待するのは間違い。
税理士や公認会計士に顧問を依頼すると、売上が上がる魔法のような提案をしてくれると思っている人もいるかもしれません。
けれども、税理士や公認会計士の基本はバックオフィスのサポートや資金の悩みを解決することで、例えば、下記のようなものです。
- 会計や税務の処理をしっかりと行ってくれる。(まずこれが基本)
- 経営分析を行ってくれる。売上や利益、コストの構造を分析してくれる。(ただし、別料金であることが多い)
- 財務や資金の管理、調達に関するアドバイスをくれる。(得意不得意があり、アドバイスをくれない税理士や公認会計士もいる)
- 顧客や提携先を紹介してくれる。(WEB系のスタートアップだと顧客の紹介は難しいかも)
このように、会計、税務、財務の支援を通じて、起業家の作業を軽減したり、経営判断をサポートするのが本来の税理士や公認会計士の役割です。また、税理士や公認会計士のサポートによって売上や利益を上げるための活動にドライブをかけるのが起業家の目指すべきところです。税理士や公認会計士に何を期待するのかを整理して依頼するようにしましょう。
4:スタッフとの相性やマネジメント方針も意識しておく。
ほとんどの会計事務所は所長の下のスタッフが作業をします。そのため、所長である税理士や公認会計士を気に入っても、実際の担当はスタッフとなるケースもあります。実際に担当してくれるスタッフとの相性も確認しておくとよいでしょう。 ただし、スタッフも担当替えや退職などで変更になる場合もあります。常に自分と相性の良いスタッフがいるわけではないですので、どのスタッフになってもちゃんと対応してくれる会計事務所かどうか、担当者によってサービスの質に大きな差がないかどうかなど、マネジメントの方針がしっかりしているかどうかを確認するようにしましょう。
5:料金は値切りすぎない。価格の根拠を聞き、適正価格を意識する。
スタートアップや起業家はお金がありません。そのため、税理士や公認会計士への報酬も安いほうを選んでしまいがちです。
けれども、報酬の安さを重視しすぎて「安かろう悪かろう」を選んでしまっては元も子もないですし、良い税理士や公認会計士に依頼しようと思ったら少なくとも最安値では依頼できないのが一般的です。 報酬があまりに安い税理士や公認会計士には、安易に飛びつかず、
- なぜ価格が安いのか、安い理由は何なのか
を確認してみましょう。納得の行く論理的な説明があれば良いですが、そうでない場合は、無理して安く提案しているなど質がよくない場合があります。 また、「人柄やサービスは気に入っているけど報酬がちょっと高いな」という場合は、やみくもにディスカウントを依頼するのではなく、
- 依頼する作業を減らすことによって価格を下げられないか(こちらが手を動かしたり、オフィスに訪問してもらう回数を減らすなどして価格が下がらないか)
を相談してみましょう。税理士や公認会計士の負担少なくディスカウントできる場合があります。
以上、スタートアップが税理士や公認会計士を選ぶ際に知っておくべき5つのポイントでした。
なお、当社でも顧問税理士・会計事務所の紹介事業(無料)を行っておりますので、税理士や公認会計士選びにお困りの際は遠慮なくご相談ください。
※本記事はWISE ALLIANCE Inc.からの転載記事です。