PCを使うにあたって最も重要なものが、ソフトウェアです。しかし、PCを使うと、あっという間にコピーを作成することができるため、家庭内、学校、企業などにおいて、違法コピーが広く行われてしまっています。
1台のコンピュータでのみ使用が許諾されたソフトウェアを複数のコンピュータにインストールしていませんか。
不正にコピーされたソフトウェアを、それと知りながら使用していませんか。
もし、不正にソフトウェアを使ってしまっているとすれば、多額の賠償金を支払わなければいけないかもしれません。場合によっては、刑事罰の対象ともなってしまいます。
不正なソフトウェアの使用は、会社に大きな打撃を与えることになってしまいます。
そのため、不正使用のリスクを認識した上で、適切かつ慎重にソフトウェアを使用することが重要となります。
そこで今回は、不正使用の意味や危険性、不正使用をしないための対策について説明していきたいと思います。
1 不正使用とは!?
正規のソフトウェアを違法にコピーすることは許されません。違法コピーとは、著作権者の許諾を得ずに複製することをいいます。ソフトウェアの場合は、正規のライセンスを受けずに、PCへインストールすることやCD-Rにコピーすること等が違法コピーに該当します。
コンピュータ・ソフトウェアは「プログラムの著作物」として、著作権法や国際条約によって保護されています。著作権法では、著作権者に、著作物をコピーする権利や譲渡する権利などの様々な権利を独占的に認めています。そのため、著作権者から許諾を受けていない限り、著作物をコピーしたり,販売したりすることはできません。
著作権者の許諾なく、コピーや販売をした場合は,著作権の侵害行為となってしまいます。また、個人的に使用する目的やバックアップ目的でコピーを作成したとしても、それを不特定または多数人に販売することは著作権の侵害となります。
さらに、著作権を侵害するものであるということを知りながら購入したソフトウェアを、コンピュータで使用することも著作権を侵害する行為にあたります。
2 不正使用の危険性
ソフトウェアを不正に使用してしまうと、民事上、刑事上の制裁を受けるおそれがあるばかりか、ウィルス感染の危険や製品保証やバージョンアップを受けられないという不利益を被ることがあります。それに加え、不正使用の事実が公になると、社会的信用の低下、社員のモラル低下など、企業としての基盤がゆらぐことになってしまうかもしれません。
⑴ 民事上の制裁
民事上の制裁としては、まず、不正使用の差止めを求められますし、所持している著作権侵害物(コピーしたものなど)は廃棄の対象となります。さらに、著作権侵害行為により著作権者に発生した損害について、賠償しなければならない可能性もあります。
組織内での不正コピーに対して約8000万円の支払を命じた判決や法人代表者の個人責任を認めた判決もありますので、注意が必要です。
⑵ 刑事上の制裁
刑事上の制裁としては、著作権を侵害した者には、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金が科されます。同時に、それが会社等の業務として行われた場合には、その会社等には3億円以下の罰金が科されます。
⑶ その他の危険性
違法コピーや海賊版ソフトウェアを使用すると、コンピュータウイルスに感染してしまったり、欠陥ソフトウェアに遭遇してしまったりする危険性が高くなります。また、違法にコピーされたソフトウェアでは、製品保証を受けられませんし、アップグレードの対象にもなりません。
そして、一番大きいのは、ソフトウェアの不正使用の事実が明るみになると、その会社の社会的信用は失墜してしまうということです。
3 対策
一番重要なことは、「正規品を購入し、正しく使用する」ということです。ソフトウェアは使用許諾契約によって、著作権者から使用が許諾されるものです。ユーザーが使用できるのは、使用許諾契約書によって認められた範囲に限られます。したがって、ソフトウェア購入時に使用許諾契約書の内容をよく読み、使用許諾契約書の条件にしたがって使用をするようにしましょう。
同時に、不正使用をしないようなコンプライアンス体制を構築し、企業内での不正使用を抑制していきましょう。
※本記事はIT著作権.comからの転載記事です。